(※出産編)「痒いのが?」と彼は聞いた

駆けつけてくれて休みもとってくれた夫。彼は丸1日以上、私の陣痛に付き合わされる羽目となった。痛みが本格的になってじっと耐えることが難しくなってからは何度も腰をさすってくれたりもした。しかし、彼も相当疲れている。何せ長くても7分置きなのだ。毎回毎回さすって貰う訳にもいかない。これは私の戦いだ。そう思って私は、呼吸法を用いても耐え切れない痛みに自分で自分の腰をさすり始めたのだ。その刹那。
「かいーのが?」
「え?」(必死でさすりながら)
「だから、背中痒いのが?って」(あくまでニュートラルに)
不覚にも痛みに耐えつつ笑ってしまった。陣痛の真っ只中にいる人を笑わせることができるのは天然ちゃんだけなんでしょうね、きっと。でも人によっては間違いなくキレるんだろうな。